萬(よろず)の舞台裏、あきらかに。

宇野亞喜良「万華鏡印刷花絮」展

*画像はSNSで> INSTAGRAM → https://www.instagram.com/p/CwW_yT_rAfq/


展:宇野亞喜良「万華鏡印刷花絮」展(後期)

時:2023[R05]06/28 Wed. 〜 2023[R05]10/29 Sun.

所:市谷の杜  本と活字館 

 

8月20日の朝、NHK「日曜美術館」の特集は『アートする身体』
https://www.nhk.jp/p/nichibi/ts/3PGYQN55NP/episode/te/P1WWLPXY1P/
↑ 番組に登場した義足のイラストレーター須川まきこ氏が
影響を受けた作家として本棚から取り出した画集は、
宇野亜喜良(うのあきら)だった。

それもひとつのきっかけではあったが、
ギンザ・グラフィック・ギャラリーでの
宇野亞喜良「万華鏡」展に行けなかったので、
特殊印刷に焦点を当てた今回の企画展へ足を運んだ。

 

万華鏡印刷花絮展  Aquirax Uno Kaleidoscope -Behind the Scene-

彼が描くのは、いわゆるカワイイやキレイから
距離を置いた別の世界。忘れられない耽美なテイストが特徴。

この展示は、制作の舞台裏ということで「花絮(かじょ)」と
題されている。「こぼれ話」という意味らしい。

代表的なモチーフである少女を主人公にし、
俳人が紡いだ言葉から生まれたシーンを描いていく。

しかし、今回その絵はあくまで素材。
印刷の技術をフルに活用して、これまでに無い
とても限定的な「作品」に仕上げている。
そのプロセスを解読できる貴重な展示だった。

おもしろい!! 率直な感想はコレ。
昨今のグラフィックデザインの仕事では
ほぼできない、いくつもの挑戦に触れられる。

紙の選択に始まり、印刷の方式、さまざまな加工…
それぞれのテーマに即した技術の連打!
これらの結晶は目の前にある現物にこそ価値がある。
フラットな画面(モニター)の中には収まらない。
「印刷」の魅力と可能性を感じた。

基本的には複製技術を駆使しているのだが、
極めてアナログな手ワザも加わった実験集。
版画に関心がある人にもオススメしたい。

雑誌「デザインのひきだし」編集長の津田淳子氏が、
校正紙に記した朱字も含めて貴重。
未知のチャレンジをいかに着地させるか、
そのハンドル捌きも、見所のひとつである。
…前期もみればよかったなぁ〜

解説の冊子も充実しており(A4・12ページ・4c4c)
しかも無料なんてウレシイ。素敵です♪

さらに、宇野作品をしおりに印刷できる活版印刷体験も!
何十年ぶりにテキン(卓上活版印刷機)に触れました。

さて、初めて訪れた「市谷の杜 本と活字館」は、
大日本印刷かつての本社を模した建物。
常設展示も楽しめました。その話題は別の機会に。

市ヶ谷駅から徒歩10〜15分、本や活字に興味があるなら
訪れる価値あるミニミュージアムです。
そうそう、若いスタッフたちが
フレンドリーだったことも付け加えておきましょう。

【参考】
市谷の杜 本と活字館 https://ichigaya-letterpress.jp/

宇野亞喜良 https://amzn.to/45Def2V
デザインのひきだし https://amzn.to/45y93xg
グラフィック社 https://amzn.to/45kpspi

 

[2023.08.20 / 2023.08.25 update]

  

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